ギリシア人の物語 Ⅲ2018/02/10 09:12


『ギリシア人の物語 Ⅲ / 塩野七海』 心の友の死 より抜粋

だが、馬に鞭をくれつづけてもどって着いたときには、ヘーファイスティオンにはすでに息はなかった。友の亡骸にすがって泣き叫ぶアレクサンドロスを、しばらくの間は誰も、どうすることもできないでいた。(略)王の学友仲間は、半狂乱のアレクサンドロスを自室に連れて行くことまではできた。だが、王はその彼らの前で扉を固く閉じてしまう。そしてその後は、食事にも手をつけずに室内にこもってしまった。



ラインハルト & キルヒアイス

                 キルヒアイス & ラインハルト


塩野七海 1937年生まれ 東京市 学習院大学文学部哲学科
田中芳樹 1952年生まれ 熊本県 学習院大学文学部国文学科



少年時代のアレクサンドロスとヘーファイスティオンの教師であったアリストテレスは、この二人を評して言ったという。一つの心が二つの肉体に分れただけ、と。


アレクサンドロス & ヘーファイスティオン

               アレクサンドロス & ヘーファイスティオン


ちなみに、岩明均の『ヒストリエ』では逆に、一つの肉体が二つの心に分れたことになっている。




カッパ考2011/01/05 07:55

ソテロ図 カッパ図
  上図 ルイス・ソテーロ説教図
  下図 大外衣(プルヴィアーレ=カッパ)


 カッパ考                 

 河童が今日知られているような姿で描かれるようになったのは江戸期以降のこと。また、様々な呼称が氾濫する中で「カッパ」と称するのは江戸から仙台にかけてのごく一部に限られていた。その起源を求めて、かなり大胆な仮説を唱えてみたい。

 慶長18年9月15日(1613年10月28日)に伊達藩の牡鹿半島月ノ浦から支倉常長らの慶長遣欧使節がローマへと旅立った。率いるのはフランシスコ会の宣教師ルイス・ソテーロ神父である。江戸の修道院長であったソテーロは伊達政宗から病にかかった愛妾の治療を依頼された折り、ペドゥロ・デ・ブルギーリョス修道士を派遣し投薬にてこれを完治せしめて公の知己を得ることに成功、領国での接見を望み米沢にて再会を果たす。これが縁となり仙台における外洋船建造や遣欧使節の派遣に繋がることとなる。
 上図、ソテーロ師説教図を見ると、当時のフランシスコ会士の修道会服に身を包み、頭頂部の毛髪を円形状に剃りあげたパードレとして描かれているのが分かる。この河童のような剃髪法をトンスラ(羅tonsura)という。さて、修道会服の背面に着目すると、頭巾付きの小マントが垂れているのが印象的である。まるで、亀の甲羅の下半分を背負っているようには見えないだろうか。下図、大外衣:プルビアーレ(Pluviale)はカトリックの司祭がミサなどで着用する祭服である。別名カッパ(Capa)とも呼ばれる。こちらの背面は正に亀の甲羅そのものである。米沢への道中、在来のキリシタンを集めては華麗な装束でミサを挙行したことであろう。もちろん伝道のマニュアル通り病人や怪我人に治療を施しながらの道中であったと思われる。河童が秘薬を授ける民話は数多い。また、求める者には窮理学(きゅうりがく=物理学)や舎密学(せいみがく=化学)を授けたかも知れない。そうそう、彼ら西洋人が剛毛で毛深く、風呂の習慣もないことから河童の如く生臭かったのは言うまでもない。

等距離にある海岸の数が最大になるのは何処か2010/08/12 11:11

等距離にある海岸の数が最大になるのは何処か
 等距離にある海岸の数が最大になるのは何処か

 IKAROSのブログ(08/11 23:02)を読んでいたら、JAXAの臼田局付近に日本で一番海から遠い地点があるという。 http://puchitabi.jp/shimauma/2008/06/post-25.html
それならば「任意点から等距離にある海岸の数が最大になるのは何処か」という設問を思いついた。グーグルマップをPhotoshopに取り込んで、ザックリと円を描いてみたところ、上図のような解を得た。この例では、能登半島と三河湾でポイントを稼いで20地点をマークしている。更に多くの海岸と接する円が存在するのは確かだが、いずれにしても地図の精度次第である。下図のごときリアス式海岸を串刺しにするような円も認めるなら、どれほどの数値になるか見当もつかない。円周が海岸線に平行になった場合を勘案すると、プログラムによる算出も案外難しそうである。興味のある方は挑戦してみて下さい。

国民の祝日と皇室祭祀2010/07/07 14:57

国民の祝日と皇室祭祀
 
 国民の祝日の多くが皇室祭祀を起源とする事はよく知られているが、もっと踏み込んで、皇室絡みでなければ国家の祝日たり得ない、と解釈した方がスッキリするようだ。「国民の祝日に関する法律」で決定した平成22年の祝日は以下の通り。

01/01 元日        小祭:歳旦祭
01/11 成人の日     講書始(例年01/10前後)歌会始(01/15前後)の折衷案?
02/11 建国記念の日  大祭:紀元節祭
03/21 春分の日     大祭:春季降霊祭
04/29 昭和の日     大祭:先帝祭
05/03 憲法記念日    大祭:神武天皇祭(旧暦では04/03)
05/04 みどりの日    みどりの日という名称は昭和の日の旧名
05/05 こどもの日     宮中の端午の節句を復活?
07/19 海の日       海の記念日(明治天皇絡み)
09/20 敬老の日     大祭:神嘗祭(旧暦で09/17)
09/23 秋分の日     大祭:秋季降霊祭
10/11 体育の日     大祭:神嘗祭(新暦で10/17)
11/03 文化の日     大祭:明治節祭
11/23 勤労感謝の日  大祭:新嘗祭
12/23 天皇誕生日    小祭:天長節祭

01/03 三日正月     大祭:元始祭
12/25 クリスマス     大祭:大正天皇祭

◆明治節祭にあわせて日本国憲法を公布したのではないか?
◆神武天皇祭にあわせて日本国憲法を施行したのではないか?
◆東京オリンピック開会式がたまたま神嘗祭に近かったので体育の日の名目で祝日に残したのではないか? オリンピック開催は紀元2600年からの悲願であったから、これ以上の名目は望めなかったろう。

人名地名の七変化2010/05/26 13:09

西郷隆永(たかなが)と愛犬(つん)
西郷隆永(たかなが)と愛犬(つん)

 万物は流転する。言葉も移ろい、人名地名も変化する。かつて教科書で習った固有名詞も意外と当てにならない。 ちょっと気になる例を、備忘録のつもりで纏めてみた。


藤吉郎    とうぎちろう(Toguichiro)
長宗我部  ちょうすがみ(Chosugami)
小早川    こばいかわ(Cobaicava)
蒲生殿    かもどの(Camodono)
大友殿    おおどもどの(Vodomodono)
和田殿    わたどの(Vatadono)
神田殿    こおだどの(Codadono)
久我殿    こがどの(Congadono)
大館殿    おおたちどの(Votachidono)
天皇     てんおう(Tenvo)
上様     かみさま(Camisama)
太政大臣  だいじょうだいじん(Daijo Daijin)
関白殿    かんばくどの(Quambacudono)
一向宗    いっこうしょう(Ycoxos)
真言宗    しんごんじゅう(Xingonju)
比叡山    ひえのやま(Fiyenoyama)
興福寺    こうぶくじ(Cobucuji)
帝釈寺    だいしゃくじ(Daijacuji)
坂東     ばどう(Badou)
烏丸     からすまる(Carasumaru)
岸和田    きしのわだ(Quixinovada)
茨木     いばらぎ(Ybaraqui)
尼崎     あまがざき(Amagazaqui)
厳島     いくくしま(Ycucuxima)
長崎     ながざき(Nagazaqui)
種子島    たねしま(Tanexima)

出典; 日本史/ルイス・フロイス、松田毅一訳/中央公論社



①坂本龍馬 実名は直柔(なおのり)
①西郷隆盛 隆盛は父・吉兵衛のこと、子・吉之助は隆永(たかなが)
①西郷従道 隆道(たかみち)を誤って申請したもの
①大山 巌  岩(いわお)を厳しく改名した
②徳川慶喜 当初は(よしのぶ)、将軍以降は(よしひさ)と読ませた
③近衛文麿 当初は(あやまろ)、語感が悪いので(ふみまろ)とした
④石原莞爾 石原は(いしわら)と読む

出典;
①余話として/司馬遼太郎/文春文庫
②徳川四百年の内緒話/徳川宗英/文春文庫
③日本宰相列伝・下/三好徹/学陽書房
④イーハトーブと満州国/宮下隆二/PHP


その他;

アマデウス     神(deus)に愛された(ama)の意
エル・グレコ     「ギリシャ人」の意
カエサル       カルタゴ語で「象」の意、→カイザー、→ツァー
ザビエル       バスク語で「新しい家」の意
フラ・アンジェリコ  「天使のような」の意
聖フランチェスコ  「フランス人」の意、母が仏人だった

イーハトーブ    エスペラント語で「岩手の卵」の意、Ihato-ovo
イスパニア     カルタゴ語の「兎の国」の意、昔は原野だった?
ウラジオストック  露語で「東を征服せよ」の意
ゲイ          「陽気な」の意
ノーチラス      英語で「オウムガイ」の意、ノーチラス号は日本近海から出発した
ハムレット      寒村の意
バガボンド     羅語で「彷徨う者」の意、→天才バカボン
ブービー賞     西語で「まぬけ」の意、故意の最下位が増えたので最下2位に変更
ブラウザ       英語で「草を食う牛、物をむさぼり食う」の意
フラメンコ      西語で「蘭人」の意、フランダース生まれのカルロス一世時代に遡る
マンダラ       サンスクリット語で「円、集まり」の意
メルヒェン      独語で「他愛もない話、出鱈目な話」の意
ユーモア      羅語で「体液」の意、ヒポクラテスに由来
ラピュタ       西語で「淫売」の意、スイフトは承知の上で使った
ログイン      英語で「丸太を海に投げ入れる」の意

鮎          中国では「鯰」の意、鮎に相当するのは「香魚」
うざったい     多摩地方の方言で「気味悪い」の意
鮭          中国では「河豚」の意、鮭に相当するのは「三文魚」
小説         「小人の言説」の意、儒者による差別用語
総持         禅宗の「尼寺」の意、達磨の弟子総持尼(陀羅尼)にちなむ
なにわ        「魚の庭」の意
松ぼっくり      「松のふぐり」の意、「松ぼっくり少女合唱団」が困ったという
よーそろー     宜候、「直進」の意